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■ コレラ、その後 

友人から「なんとか、姪を埋葬することができた。」という電話があった。
警察から埋葬許可書をもらったものの、そのあと埋葬までが、また大変だっ
たらしい。

許可書を持って市の墓地に行ったところ、今度は墓で働いている職員が
ストライキに入っていたのだ。墓を掘る職員が2人コレラに感染し、危篤状態
に陥ってしまったのは、感染を予防できるまともな防具もつけずに仕事をして
いたせいだと、職員は十分な防具の支給と危険手当を要求しはじめたのだ。

友人は、ストライキ中の職員にプライベートに仕事を頼み、特別料金を払って
墓掘りをしてもらわなくてはなかった。ジンバブエでは殆どの場合、土葬である。
また棺を墓地まで運ぶ車を借りたが、感染を恐れ、車とドライバーに危険料を
課した特別料金を払わなけらばならなかったという。

何もかもが困難な状況にあるにもかかわらず、墓地にはいくつもの家族が
埋葬に来ており、いたたまれない雰囲気だったらしい。
雨が降らなかったのが幸いであると。

その日、故人の妹は埋葬には参加できなかった。2歳になる子供がコレラに
感染して入院したのだ。

その後、故人の他の姉妹にもコレラの症状が出たが、今は回復に向かって
いるとのことだった。


私は、友人が検査官にもらった水の汚れを沈澱させるという錠剤を試してみる
ことにした。袋には、ユニセフのマークが入っている。
20リットルの容器に1粒入れて蓋をした時、電話が鳴った。
ジャナグルのメンバーからで、私が渡した錠剤を入れてみたが水が臭うという。
驚いて蓋をあけ、水に顔を近づけたところ、クレゾールのような臭いが鼻にツーン
ときた。こんな水は飲めない。飲むどころか顔を近づけるのもむずかしい。

今日、国連は、ジンバブエのコレラの死者は650人に達したと発表している。
ジンバブエとの国境に近い南アフリカやボツワナの町には、コレラ緊急対策の
テントが張られ、すでに数十人が医師の手当を受けているという。

コレラが広がるのを防ぐために、今、何をすべきか。
どう考えても私には ”蛇口から飲料に適した水を出すこと” 以外、思い浮かば
ないのである。
                     高橋 朋子

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