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■ コレラで親戚を亡くした人の話 

数日前、政府がコレラの汚染地区は、全国9県のうち8県にまたがると
発表した。断水に加え、汚水処理が追いつかず、じわじわと広がって
いたのだ。

発生地はこれまでチノイ市とされていたが、今はハラレ市で最も多く
感染者が出ており、なかでもブディリロ地区に集中している。

WHOの発表によると、感染者は約9000人、死者は380人だ。
国境を超えて、隣国のボツワナ、南アフリカに入ったジンバブエ人の感
染も報告されており、今や近隣国もコレラ対策を立てざる得ない状況で
ある。

感染は身近でも起きている。

11月24日、友人の姪がコレラで亡くなった。
亡くなる2日前に用事があって、ブディリロ地区に行ったらしい。
具合が悪いという連絡を受けて、友人がかけつけた時には、もう亡くなっ
ていた。

以下は、その友人の話である。

・・・・・・姪が亡くなり、すぐに警察に検死を頼みに行ったが、コレラで死
亡した場合は検死はできないと言われ、公立病院のドクターのところに行く
ように言われた。
ジンバブエで一番大きな公立のパラレニャトゥワ病院に行ったが、ストラ
イキ中でドクターはいなく、2番目に大きなハラレ病院に行ったところ、
そこもドクターはストライキで不在。
あそこであれば・・・・と、感染病専門のナザレス病院に行ってみたが、何と、
そこもドクターはストライキでいなかった。

どうして良いかわからず、ブディリロの病院に行ったところ、たまたま5時に
仕事を終えて帰宅しようとしていた検査官が話しを聞いてくれ、再びユニフ
ォームに着替えて一緒に家に行ってくれた。

検死の後、検査官は家に集まっていた人達に、コレラとはどういう病気か、
感染の防ぎ方について詳しく説明し、葬儀の場での飲食を一切禁じ、家中を
消毒した。

遺体を専用のビニールの袋に包み病院の安置室に運ぶために車を捜した
が、コレラと聞くとみな首を横に振り断わられた。
やむなく高橋の乗用車を借りた。

遺体を安置室に運んだあと、検査官は車のすみずみを、タイヤにもスプレー
をかけて消毒した。

その翌日、いつも診察を受けている私立のクリニックのドクターに会いに
行ったが不在、その翌朝の出勤を待ち、死亡診断書を書いてもらった。

その診断書を持って警察に行ったところ、明日28日、埋葬許可書を取りに
来るようにと言われた・・・・・。

今日は28日、亡くなって5日経過している______________

埋葬許可書が出たら、ハラレ市に墓地の埋葬料を払いに行き、棺を買い、
墓地に埋葬する_____これが人を弔う全過程である。

葬儀会社もあるが、費用が高いので、たいていはこの全過程を遺族が
することになる。

この過程をクリアするのは大変だ。

どの病院もストライキ中で、テレビのニュースの時間に、厚生大臣が、
「昇給をしますので、職場に戻ってください」と、職員に呼びかけている。

銀行から引き出せるお金が制限されているのも問題だ。
今、一番安値な大人用の棺は2万円らしい。棺ひとつを買うために
何日も銀行に並ばなくてはならないだろう。

遺体安置室は、引取り手のない遺体でいっぱいになっている。


高橋 朋子

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