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■ インフレで進級がますます難しく  

早いもので、今年も残すところあと7週間。
昨年の今頃は、みな大統領選挙に希望をかけていたが、新しい内閣も
決まらないまま、年の瀬を迎えようとしている。

8月に新たに発行された紙幣は、すでに最高額が100万ドル札に達し、
少額紙幣は次々と紙切れのようになっていく。
この激しいインフレの影響をまともに受けているのは、大人だけではない。

学校の中には、公立、私立に限らず、1年以上前から先生がストライキを
しているところがあり、授業を受けられないまま、3学期を迎えている生徒
が沢山いる。

授業が行われていないのだから試験をしても仕方がない、『教育省は授
業がなかった学校の生徒は進級せず、来年もう一度、同じ学年をすること
に決めた』という噂が、先月からあちこちで聞かれるようになった。
この1年が無駄になるのだ。

一体どうなるのだろう・・・・?と、思っていると、テレビのニュースに試験の
総監督のような人が出てきて、まるで何事もないかのように、「えー、今年
の試験はいつも通りに行います。」と発表した。
とても重大なことなのに、まるでタクシーの運転手に行き先を告げるような
簡単さだった。

そして、その試験は近づき、保護者は生徒以上に慌てた。
何と、今年の試験は小学生も有料!になったのである。

インフレのため、学校には資金がない。でも先生達は頑張って何とか試験
の準備をするから、保護者も頑張って欲しい、というのだ。

その試験料は学校によって異なる。
ジャナグルジュニアバンドのメンバーが通うハラレの街中にある小学校の
場合、生徒1人、アメリカ10ドルか南アフリカ100ランド、ジンバブエドルの
場合は100万ドルだ。

今やスーパーマーケットの商品はほとんどアメリカドルで値段がついている
が、商品に限らず、授業料も試験料もみな外貨で払わなくてはならないのだ。
自国のジンバブエドルは、まるで<例外>扱いになってしまっている。

その例外のお金も、1日50,000ドルしか自分の銀行口座から引き出すこ
とができない。炎天下、何時間も列に並び、やっと手にしたそのお金で、せ
めて1週間くらい生活できればいいのだが、悲しく悔しいことに、50,000ドル
では食パン1本すら買えないのだ!!
いや、・・・・・銀行までの交通費すらおぼつかないのだ。

いくら昇給されても現金で払われない限り、意味がない。

そのバンドの子のクラスは49人学級だったが、交通費が毎日のように上がっ
た9月の中頃から生徒が更に減り、今では30人前後になっている。
バスを乗り換えなくてはならない地区から通っている生徒は、1日の交通費だ
けで200円(200,000ドル)かかるのだ。
これは、銀行に4日並ばなければ引き出せない額である。

学校に着くと先生は生徒に自習をさせて銀行にお金を下ろしに行く。
列が長いので、先生が学校に戻る頃には生徒が下校してしまっている。
授業が受けられるのは、先生が銀行に行かない日なのだ。

自分が働いたお金を銀行から引き出すために毎日時間がとられ、仕事ができ
ないのは教師や会社員だけではない。
銀行の外の長い列には、警察官も軍服を着た兵士も並んでいる。
これでは、国の柱も天井も床も、すべてが薄くなってしまうだろう。

(11月12日 記   ジンバブエ 高橋)

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