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■ 遂に井戸水の暮らし 

ハラレは、連日32度を超える暑い日が続いている。
湿度がなくカラッとしているので、日陰にいる分には汗をかく
こともないが、太陽の熱を吸いこんだ日中のアスファルト道の
近くは、思わず目や口をおさえてしまうほど空気が熱い。

雨季を告げる大雨が降ってから2週間が過ぎた。
その後やってきた雨雲は、どれも青空のなかに消えてしまい
雨は一滴も降らず、空気も土もすっかり乾いている。

これから本格的な夏を迎えるというのに、数ヶ月にわたって
断水が続いている町や地域が全国にいくつもある。
私が住む地区も、この1ヶ月半の間に蛇口から水が出たのは
2回だけだ。

テレビのニュースでは、断水はポンプの老朽化が原因、水は
あるが浄化する薬品を輸入する外貨がない、と繰り返すばか
りで、さっぱり解決に向かわない。

解決に向かうどころか、120kmほど離れた町、チノイでは
コレラが発生し、ハラレでもコレラの死者が出はじめている。

最近、水資源省の大臣が「週末には多くの地域で水が出る
ようになる」と発表したものの、水は一向に出ず、テレビ局に
問い合せの電話が殺到したらしい。
怒りというより、何とも悲しい雰囲気でそのテレビ番組は終った
と、見ていた友人は言う。

『一体、この断水はいつまで続くのだろう?』 毎日、そう思って
暮してきた私だが、ある日を境に
『ひょっとしたら、この先、何年も水は出ないかもしれない』と
思うようになった。
なぜ、今まで期待してきたのだろう。

私は井戸水を使うことにした。
6年前に井戸を掘り、水があることはわかっている。
あとは、ポンプをつけて水を汲み上げるだけなのだ。
そう言えば簡単だが、費用がかさむので、なかなか実行
できなかったのである。

早速、業者に来てもらった。

6年前、畑の地下40mのあたりで水が出、煙突ほどの円筒を
入れたままになってある。
そのフタの部分を切り、円筒の底までポンプを下ろして
ジェネレーターのスイッチを入れると、ホースの口から勢いよく
白く濁った水が噴き上がった。

勢いが止まると、円筒の底から、チョロチョロと水が
流れる音が聞こえてくる。
地下から届くひんやりとした水の音は不思議と近く感じられ、
まるで風鈴の音のように、心地よかった。

業者によると、水量が足りないとのことで、2500リットル
のタンクに水を貯めて使うことになった。

台所の蛇口から水が勢いよく出た時は感激し、
また生活がスタートしたような気がした。

『湯水のように使う』とは、ここでは貴重なものを大切に
使うということになる。

流水を手で受けるたびに、ありがたい気持ちになり、
すみずみまで何かが行き渡る。


         (ジンバブエ 高橋)

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