■ ヨハネスバーグで迎えた祝日
先週、南アフリカのヨハネスバーグに行ってきた。
ハラレから飛行機で90分の距離だ。
以前泊まったことのある空港近くのホテルに予約
の電話をすると、なんと料金が2、5倍近くになっていた。
2010年のワールドカップに向けて、南アフリカでは
物価がどんどん上がっていっているのかもしれない。
ホテルより料金が安いロッジに泊まることにした。
ヨハネスバーグ空港のインフォメーションデスクの前で
タクシーの運転手を捜していると、小柄な男の人が
近寄ってきた。
ロッジまでの料金を聞くと、メーターなしで75ランド
(約1500円)と決まっていると言う。
わずか5kmの距離なのに高いような気がして、背後の
デスクの女性に聞いてみた。
「こちらの運転手は、あてになるんでしょうか?」
「胸の国旗のバッジはオフィシャルの印だから、
オフイシャルであることは確かです。」
なんだか、よくわからない返事だ。運転手であることは
確かだから、あとは自分で判断しなさいと言うことなの
だろうか。
私はその運転手の車で行くことにした。
空港は、どこもかしこも工事中で、天井にはひらひらと
ビニールが貼りつけられている。何か落ちてくるのでは、
と思うほどだ。
その運転手の車は、ずいぶんと遠くにあり細い通路を歩き、
地下に降りて更に歩いた。果してこんなところにタクシーを
止めるもんだろうか。
失礼とは思ったが、改めて聞いてみた。
「本当にタクシー運転手なんですか?」
「本当に本当さ。空港が工事中だから、ここに駐車
するしかないんですよ。あなたは大変いいことをし
たんですよ案内所でどんなタクシー会社か確かめ
たんだから。」
その運転手の車は、なんと10席以上あるツアー客用の
真っ白なバスだった。助手席は上がり台がいるほど高い。
「なーるほど、大きなバスだから料金も高いわけね。」
「No No No! 公定料金ですよ。もしおかしいと
思ったら案内所に戻って聞いてみてもいい。」
そう言われても、案内所はもう遠く、戻る気にもなれない。
車は地上に出て、ハイウェイをすごいスピードで走り出した。
どの車も目的地に1分でも早く着くこと以外考えていない
かのようにぶっ飛ばして行く。
味気ない道路、遠くには高圧線が走り、どこもかしこも人の
手が加わった模型のような景色だ。
ホッとする風景は、この町の一体どのあたりにあるんだろう。
運転手と世間話をする間もなく、車はロッジに着いた。
ロッジの受付には、白人と黒人の男女がいたが、2人とも
無愛想で客の方が反対に、「How are you?」などと
声をかけている。
雨が降ったのだろうか。部屋の中はうすら寒く、私は
ジャケットを着たまま、ベッドに入った。
今まで何度、この町に来ただろう。
一番記憶に残っているのは、ヨハネスバーグに駐在していた
日本の新聞記者に取材を受けた時のことだ。
できたばかりという中華街を案内してくれ、夕飯をごちそうに
なり、終らなかった取材のために、記者は翌朝、空港のロビー
まで来てくれた。
空港が、いつもとちがう雰囲気だったので、記者に聞くと、
「今日はネルソン・マンデラの誕生日で、グレース・
マシェルとマンデラの結婚式があるんです、祝日
なんです!」とのことだった。
グレース・マシェルは、1986年、ヘリコプターに乗っている
ところを撃墜されて死亡した当時のモザンビークの大統領
サモラ・マシェルの未亡人である。
マシェルのヘリコプターを撃墜したのは、南アフリカ政府
(当時は白人政権下)であることを、疑う人はいない。
私がはじめてジンバブエに来たのは、その事件の数ヶ月後
だった。ラジオからは、トーマス・マフモのマシェルを悼む
『ジンバブエ・モザンビーク』や、クライブ・マルンガの
マシェルの闘いを称える『ガンバレ アフリカ(アフリカの
英雄という意味)』が流れていた。
撃墜されたヘリコプターは、その場所に、その時の状態の
まま保存されており、ナショナルモニュメントになっている。
昨年の20周年には、アフリカ全域からマシェルの死を
悼む人たちがモザンビークのその現場に集り、追悼の式典
が行われ、その様子はテレビ中継で伝えられた。
あの空港での取材からどれくらい経ったのだろう・・・・・。
天井がなく頭上から陽が射し込んできているような明るさ
だった。
ヨハネスバーグには、その後も数回行っているが、
あの祝日を超える日は、まだ来ていない。
(ジンバブエ 高橋 朋子)
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
久しぶりに停電があけ?、ブログにたどりつきました、が
ついた途端に、電話回線のほうがブチッと切れました。
かろうじて画面はそのままだったので、ブログを確認しました。
昨日は朝から停電、おまけに断水でした。
とりあえず 近況の報告です。
ハラレから飛行機で90分の距離だ。
以前泊まったことのある空港近くのホテルに予約
の電話をすると、なんと料金が2、5倍近くになっていた。
2010年のワールドカップに向けて、南アフリカでは
物価がどんどん上がっていっているのかもしれない。
ホテルより料金が安いロッジに泊まることにした。
ヨハネスバーグ空港のインフォメーションデスクの前で
タクシーの運転手を捜していると、小柄な男の人が
近寄ってきた。
ロッジまでの料金を聞くと、メーターなしで75ランド
(約1500円)と決まっていると言う。
わずか5kmの距離なのに高いような気がして、背後の
デスクの女性に聞いてみた。
「こちらの運転手は、あてになるんでしょうか?」
「胸の国旗のバッジはオフィシャルの印だから、
オフイシャルであることは確かです。」
なんだか、よくわからない返事だ。運転手であることは
確かだから、あとは自分で判断しなさいと言うことなの
だろうか。
私はその運転手の車で行くことにした。
空港は、どこもかしこも工事中で、天井にはひらひらと
ビニールが貼りつけられている。何か落ちてくるのでは、
と思うほどだ。
その運転手の車は、ずいぶんと遠くにあり細い通路を歩き、
地下に降りて更に歩いた。果してこんなところにタクシーを
止めるもんだろうか。
失礼とは思ったが、改めて聞いてみた。
「本当にタクシー運転手なんですか?」
「本当に本当さ。空港が工事中だから、ここに駐車
するしかないんですよ。あなたは大変いいことをし
たんですよ案内所でどんなタクシー会社か確かめ
たんだから。」
その運転手の車は、なんと10席以上あるツアー客用の
真っ白なバスだった。助手席は上がり台がいるほど高い。
「なーるほど、大きなバスだから料金も高いわけね。」
「No No No! 公定料金ですよ。もしおかしいと
思ったら案内所に戻って聞いてみてもいい。」
そう言われても、案内所はもう遠く、戻る気にもなれない。
車は地上に出て、ハイウェイをすごいスピードで走り出した。
どの車も目的地に1分でも早く着くこと以外考えていない
かのようにぶっ飛ばして行く。
味気ない道路、遠くには高圧線が走り、どこもかしこも人の
手が加わった模型のような景色だ。
ホッとする風景は、この町の一体どのあたりにあるんだろう。
運転手と世間話をする間もなく、車はロッジに着いた。
ロッジの受付には、白人と黒人の男女がいたが、2人とも
無愛想で客の方が反対に、「How are you?」などと
声をかけている。
雨が降ったのだろうか。部屋の中はうすら寒く、私は
ジャケットを着たまま、ベッドに入った。
今まで何度、この町に来ただろう。
一番記憶に残っているのは、ヨハネスバーグに駐在していた
日本の新聞記者に取材を受けた時のことだ。
できたばかりという中華街を案内してくれ、夕飯をごちそうに
なり、終らなかった取材のために、記者は翌朝、空港のロビー
まで来てくれた。
空港が、いつもとちがう雰囲気だったので、記者に聞くと、
「今日はネルソン・マンデラの誕生日で、グレース・
マシェルとマンデラの結婚式があるんです、祝日
なんです!」とのことだった。
グレース・マシェルは、1986年、ヘリコプターに乗っている
ところを撃墜されて死亡した当時のモザンビークの大統領
サモラ・マシェルの未亡人である。
マシェルのヘリコプターを撃墜したのは、南アフリカ政府
(当時は白人政権下)であることを、疑う人はいない。
私がはじめてジンバブエに来たのは、その事件の数ヶ月後
だった。ラジオからは、トーマス・マフモのマシェルを悼む
『ジンバブエ・モザンビーク』や、クライブ・マルンガの
マシェルの闘いを称える『ガンバレ アフリカ(アフリカの
英雄という意味)』が流れていた。
撃墜されたヘリコプターは、その場所に、その時の状態の
まま保存されており、ナショナルモニュメントになっている。
昨年の20周年には、アフリカ全域からマシェルの死を
悼む人たちがモザンビークのその現場に集り、追悼の式典
が行われ、その様子はテレビ中継で伝えられた。
あの空港での取材からどれくらい経ったのだろう・・・・・。
天井がなく頭上から陽が射し込んできているような明るさ
だった。
ヨハネスバーグには、その後も数回行っているが、
あの祝日を超える日は、まだ来ていない。
(ジンバブエ 高橋 朋子)
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
久しぶりに停電があけ?、ブログにたどりつきました、が
ついた途端に、電話回線のほうがブチッと切れました。
かろうじて画面はそのままだったので、ブログを確認しました。
昨日は朝から停電、おまけに断水でした。
とりあえず 近況の報告です。
- [2007/10/17 00:57]
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