■ 春のハラレに無事、戻りました!
23日の早朝、まだヨハネスバーグの町が朝もやに
包まれている頃、飛行機は無事ジャン・スマッツ
空港に着陸しました。
いつもなら、「さあ、着いたぞ!」と、飛行機のドアの
外のひんやりとした空気を存分に吸いこみ、
爽快な気分でタラップを降りるのですが、この度は
違いました。
ドアが開くと、掃除機のチューブのような通路があり
その長い通路を進んで行くと、太い通路にぶつかり、
それが空港につながっていたのです。
真新しくピカピカに光ったタイルの通路は、接着剤の
臭いがして、動く歩道もまだ試運転前。
新鮮なアフリカの空気を吸う前に、自分が薬品の臭い
がする空港に吸いこまれてしまいました。
待ち合わせの時間が3時間以上あるので、空港内の
CDショップで音楽を聴こうと店内に入ると、女性の
店員が流れている曲に合わせてステップを踏み、
ゆっくりと踊りながら近づいてきました。
「ハーロー!」
「朝からゴキゲンね!」と言うと、コクンと頷きます。
なんて気楽なんでしょう。
あー、アフリカに帰ってきたなー、と思いました。
その次は、ギャラリーです。
大好きな画家がいるのです。子供たちが音楽によって
発揮する瞬発力の美しさのようなものを描く画家です。
この画家が描いた、子供が4人横に並んでダンスし、
ジャンプする瞬間を描いた1枚は、
アメリカのオプラ・ウィンフリーがヨハネスバーグ近郊に
建てた学校、リーダーズアカデミーの壁にもかけられて
いました。テレビのニュースで見たのですが。
新作は、校庭で”一入り、一抜けた”と、縄跳びを
する小学生を木炭で描いています。
「まだ跳べる!もっと跳べる!」という声が聞こえて
きそうです。私は唸りました。
ヨハネスバーグからハラレまでの南アフリカ航空は
ほぼ満席で、乗客のほとんどが白人でした。なにやら
賑わっていて、この飛行機は食料がないらしい国に
向かうのだろうか、と思ったほどです。
座席の頭上からパタンと開くテレビからは、「びっくり
カメラ」のようなビデオが繰りかえし流れ、これは
10年前と変わりません。
なぜ、こんな低俗なものを流すのだろうと毎度思うの
ですが、声を上げて笑い続ける客もいるのでした。
飛行機の窓からは、黄金色の草原を焼く白い煙の筋が
上がっていくのが見えます。
真っ黒に焼けた野原が再び緑になるまで、そう時間は
かかりません。
ポツリポツリと新芽が顔を出し、黒いキャンバスに絵を
描くかのように草が成長していきます。
1時間半後、飛行機はガッターンと派手な音を立てて、
ハラレ空港に着陸しました。
甘い香りがたちこめる春です。
日本とは何かが違います。
なんだか、地球の温度が感じられるのです。
その温度の上で厚着をしたり、薄着になったりして
生き物が生きている感じです。
干草の匂い、花の匂い、落ち葉の匂い、
何度、深呼吸をしても足りないほどです。
どこを見ても美しい。
貧困でさえ美しく見える街に、
私はすべりこみました。
(ジンバブエ 高橋 朋子)
包まれている頃、飛行機は無事ジャン・スマッツ
空港に着陸しました。
いつもなら、「さあ、着いたぞ!」と、飛行機のドアの
外のひんやりとした空気を存分に吸いこみ、
爽快な気分でタラップを降りるのですが、この度は
違いました。
ドアが開くと、掃除機のチューブのような通路があり
その長い通路を進んで行くと、太い通路にぶつかり、
それが空港につながっていたのです。
真新しくピカピカに光ったタイルの通路は、接着剤の
臭いがして、動く歩道もまだ試運転前。
新鮮なアフリカの空気を吸う前に、自分が薬品の臭い
がする空港に吸いこまれてしまいました。
待ち合わせの時間が3時間以上あるので、空港内の
CDショップで音楽を聴こうと店内に入ると、女性の
店員が流れている曲に合わせてステップを踏み、
ゆっくりと踊りながら近づいてきました。
「ハーロー!」
「朝からゴキゲンね!」と言うと、コクンと頷きます。
なんて気楽なんでしょう。
あー、アフリカに帰ってきたなー、と思いました。
その次は、ギャラリーです。
大好きな画家がいるのです。子供たちが音楽によって
発揮する瞬発力の美しさのようなものを描く画家です。
この画家が描いた、子供が4人横に並んでダンスし、
ジャンプする瞬間を描いた1枚は、
アメリカのオプラ・ウィンフリーがヨハネスバーグ近郊に
建てた学校、リーダーズアカデミーの壁にもかけられて
いました。テレビのニュースで見たのですが。
新作は、校庭で”一入り、一抜けた”と、縄跳びを
する小学生を木炭で描いています。
「まだ跳べる!もっと跳べる!」という声が聞こえて
きそうです。私は唸りました。
ヨハネスバーグからハラレまでの南アフリカ航空は
ほぼ満席で、乗客のほとんどが白人でした。なにやら
賑わっていて、この飛行機は食料がないらしい国に
向かうのだろうか、と思ったほどです。
座席の頭上からパタンと開くテレビからは、「びっくり
カメラ」のようなビデオが繰りかえし流れ、これは
10年前と変わりません。
なぜ、こんな低俗なものを流すのだろうと毎度思うの
ですが、声を上げて笑い続ける客もいるのでした。
飛行機の窓からは、黄金色の草原を焼く白い煙の筋が
上がっていくのが見えます。
真っ黒に焼けた野原が再び緑になるまで、そう時間は
かかりません。
ポツリポツリと新芽が顔を出し、黒いキャンバスに絵を
描くかのように草が成長していきます。
1時間半後、飛行機はガッターンと派手な音を立てて、
ハラレ空港に着陸しました。
甘い香りがたちこめる春です。
日本とは何かが違います。
なんだか、地球の温度が感じられるのです。
その温度の上で厚着をしたり、薄着になったりして
生き物が生きている感じです。
干草の匂い、花の匂い、落ち葉の匂い、
何度、深呼吸をしても足りないほどです。
どこを見ても美しい。
貧困でさえ美しく見える街に、
私はすべりこみました。
(ジンバブエ 高橋 朋子)
- [2007/08/27 21:28]
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