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■ 一代限りの種 

▼  小樽の喫茶店でジンバブエの紹介をした時のこと。
  余市で農業を営んでおられるご夫婦が、どうしても
  聞きたいことがある、と話しかけてきた。
  
   「ジンバブエでは、主食の白いとうもろこしの種は
  買って植えているのか、それとも、収穫したものを
  保存して植えているのでしょうか?」

   私は、毎年、買って植えていると答えた。
  ジンバブエでは10月になると、マーケットに植えるた
  めのとうもろこしの種子が袋入りで並ぶ。
   量は1キロ詰めから20キロ詰めまでとさまざまだが、
  種の色は、みな蛍光がかったピンクかグリーン色で、
  薬品で処理されている。
   
   その種が実り、翌年のために実を保管しておいて植え
  ても、残念ながら育たない。一代限りの種なのだ。
   よって、人々は毎年、種を買わなくてはならない。  
   つまり、お金が必要となり、お金がなければ主食も育て
  られない。お金の奴隷状態で、土だけでは生きていけない
  しくみになっているのだ。

   「やっぱり・・・アフリカもそうですか」そのご夫婦は
  唸った。「アメリカがこんな風にしたんですよ、種を支
  配しているんです」
   
▼  はたして、いつ頃から、こうなってしまったのか。
  私が子どもの頃、祖母は色々な野菜を植えていた。
  できの良いとうもろこしを干して保存し、翌年植えていた。
   その頃は、”もちきび”という黒っぽい色のとうもろこ
  しもあり、色の並び方を見るのも楽しく、味わい深かった
  ような気がする。
   祖母は自慢の種を近所の友人に分け、また交換すること
  を楽しみにしていた。

   いつのまにか、とうもろこしはみんな黄色になり、砂糖
  をまぶしたような甘さになり、種は買うものになってし
  まった。

▼  ジンバブエではどうか。
   60年代以前に生まれた人たちは、種を保存していたこ
  とを覚えている。
   同じ頃に世界中の種が一代限りになってしまったのだ
  ろうか。

   そういえば、函館のあるグループが中国人からもらった
  という種用のもろこしを見せてくれたことがある。
   ということは、日本でも、種子を引き継いでいる人たち
  がいるのかもしれない。

▼  あれ以来、種子を買うときには原産国が気になり、袋の裏
  を必ず見る。
   デンマーク、アメリカ、オランダ、ほうれんそうもチンゲ
  ン采もみな外国産だ。一代物であるだけでなく、みな外国か
  らきた種なのだ。食料だけでなく、種子まで輸入に頼ってい
  るのだろうか。
  
▼  ジンバブエは今、雨季を迎え、とうもろこしが芽を出す季
  節である。
   もし、自分たちで種子を引き継ぐことができるとうもろこ
  しがあれば、アフリカの人たちは、ここまで空腹に苦しめら
  れることはないだろう。

                        (高橋)
 
   
   

   
   
   

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