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■ 愛のサッカーボールプロジェクト! (その2) 


 富士見南中学校の生徒が作った大作のグリーティングカードを見たのは
ジンバブエに戻ってきてからです。
 きれいに折りたたまれた赤いカードは縦2m、横幅が1.5mもあり、真ん中
に緑のクリスマスツリー、そしてその上に生徒ひとりひとりが書いた英語のメ
ッセージがぎっしりと貼られていました。
 切り紙もあれば、千代紙で折った鶴も飛んでいて、また生徒がカードを作る
作業をしている写真も貼ってあり、生徒たちの真剣さが伝わってくる力作です。

 包みの中には真新しいサッカーボールが3つ入っていました。美しいボール
は生徒全員の直筆サイン入りで暖かい感じがし、すぐに使えるように、空気入
れのポンプと針のセットが2組入っていました。

 こんなプレゼントをもらったら、みんな飛び上がって喜ぶに違いありません。
私は早速、ハラレから40キロの距離にあるノートンという町のチエザ小学校に
電話をしました。
 公立のこの学校では、数年前にジャナグルのクライブ・マルンガが成績が優秀
な生徒を表彰するプライスギビングデーに招かれてスピーチをしていており、
熱心な先生達がいる良い学校だ聞いていました。だから、何かある時には、
この学校にしようと決めていたのです。

 ”チエザ”はショナ語で、明かりという意味です。イントネーションを変えれば
「I can do it」という意味にもなります。


 そのチエザ小学校に行ったのは2月1日、長く続いた雨が止み、久しぶりに青空
が広がる大変気持ちの良い日でした。
 
 学校は昼休み入ったところで、校長先生は急用ができて外出中でしたが、4人の
先生とテーブルを囲んで挨拶をしました。
 
 富士見南中学校の話をし、清水先生からの手紙を渡して読んでいただき、サッカ
ーボールをテーブルに置くと、一瞬シーンとなりました。
こんなきれいなサッカーボールを見るのは、きっとどの先生も初めてなのです!
    「Thank you very very much!」
    「This is great!!!」
    「I am impressed !!!」
 先生たちは口々にそう言って喜んでくれました。

    「でも、どうしよう・・・・・空気を入れるポンプがないわ・・・」と言う声が聞こえた
ので、すかさず「ポンプと針も入っています」と包みを開きテーブルに載せました。

    「こんな快適なポンプははじめてよ!」と、先生が早速ボールに空気を入れ、
別の先生が大きなカードを会議室の壁に貼っているうちに、先生の数がどんどん
増え、テーブルにボールや私が持参した絵の具、クレヨン、色鉛筆、筆、パレット、
色紙などまで並べ始めました。そして、みんなでこのプレゼントを大喜びしている
ところを写真を撮りました。


 その後、庭に移動し記念写真を撮ろうとしたところ、集まってきた児童が多すぎ
て入りきれず、一緒に写真を撮れたのは、ラッキー組だけです。
 
 先生に、持参した絵の具を使って、富士見南中学校の生徒たちにお礼の手紙を
書いてはどうかと言うと、 
    「もちろんそうします!1週間後には出来上がるでしょう。」とのことでした。
                                          (つづく)

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■ 愛のサッカーボールプロジェクト!  (その1) 

 ジャナグルが2006年に学校公演をした長野県には
その後もジンバブエ出身のカテッザ先生の講演がある
と聞けば駆けつけ、ジンバブエの楽器やクラフトを紹介
したり、またアフリカに関心がある地域の集まりにも参加
してきました。
 その際、長野県富士見町立南中学校で教師をしている
友人の清水ふき子さんから、南中学校の人権教育への
取り組みについて聞く機会があり、先生と生徒の真剣さに
感心していたのです。
 南中学校では、3年生は修学旅行で広島を訪れ平和
学習の中で世界平和を考え、また全校で日本に起きた、
あるいは起きている様々な人権問題を考えてきたそう
です。例えば戦争、部落、障害、HIV、外国人に対する
差別など。また、ユニセフ、赤十字の活動についての
学習もし、募金活動もしてきたといいます。

 昨年のこと、人権生徒集会で何か自分達が直接、世界の
人達に微笑をもらたらすことができるような活動はないかと
話し合ったところ、ジャナグルに協力してもらい、ジンバブ
エの子供達にサッカーボルを送ろうというアイデアが出た
のだそうです。生徒会本部、奉仕福祉が中心になって生徒
に呼びかけ、全校アンケートをとった結果、全校大賛成!で
実施が決まった、と。
 私はその話を聞き、喜んで協力することにしました。

 生徒達は、自分達が汗をかいて手にしたお金でなけれ
ば・・・と、生徒会生産部が椎茸と梅を栽培して販売、また
保健部の廃油で石鹸を手作りして販売し、それらの売上
金でサッカーボールを購入したそうです。各学年ひとつずつ、
せて3個購入したと言うのです。
ではありませんか!!!
 ボ-ルと2週間かかったという全生徒のメッセージが
貼られた巨大なクリスマス・ニューイヤーカードがきれいに
梱包されて小樽に届いたは1月中旬です。
 私は、生徒達の心が詰まったこの包みが途中で紛失した
りしないように、ガッチリと鍵のかかるカバンに入れて千歳
空港に向かいました。
                            (つづく)
           

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■ 雨季は終りに近づいて・・・・・・ 

毎日、黒い雨雲がやってきて、大量の雨を降らせたので
ジンバブエのダムは一気に70%以上の水量になったそう
です。なのに、相変わらず断水が続いているのはなぜなの
か。誰もが持つ疑問に、政府は、「外貨が不足しているので
水を飲める状態にする薬品を輸入できない」と答えています。

そこで代案として、ハラレの近郊に大きな井戸を掘り、その
水を汲み上げる計画があるとか。
しかし、よく聞いてみると、そのためにはパイプを輸入しなけ
ればならず、おまけに完成させるまで5年!かかるとのこと。
これでは話になりません。

私は裁判所が近くにあるためか、断水になることがあまりな
いアートセンターの蛇口の水を運んできて何とか暮している
のですが、その水も最近、煮沸しなければ臭いが気になっ
て飲めなくなってきました。
よって、電気がもどった時には、まず水をたっぷりと沸かし、
次の停電に備え携帯電灯などの充電します。ところが備えが
持たないくらい停電が長いのです。
新聞は、「電気が足りないのは隣国に輸出しているため」と
ジンバブエの電力供給局を皮肉るひとくち漫画を載せていま
すが、本当なのでしょうか。

最近、雨水を貯める大きな円筒形のタンクをあちこちで見か
けます。電気がなければ、井戸水を汲み上げることはできない
ですが、このタンクだと電気はいらず、蛇口をひねれば水が
出てきます。
さて電気を作るには、やはりソーラーパネルでしょうか。
停電続きで、世界の動きもわからないこのごろです。


                       高橋朋子

■ 今日はめずらしく電気も水も有る日だった 

 私が日本からハラレに帰ってきた1月21日は、2度目の
全国規模、いや隣国にもまたがる規模の大停電4日目で、
加えて断水になって1週間という日だった。
 帰宅したものの、料理どころか飲み水もおぼつかず、カ
バンに日本のおにぎりが入っているのを思い出し、ろうそ
くを灯してそれを夕食にした。
 あれから10日が過ぎ、やっと今日一息ついたような気が
する。

 この10日間で水が出たのは3日間、電気があったのも
3日間くらい、電気も水もなく電話すら通じない日が何日も
続いた。にっちもさっちもいかなくなり、ホテルにも泊まった。
ホテルで久しぶりにテレビのニュースを見ていた時のこと、
突然、外からゴォーッとモーターが回り出したような音が聞こ
えてきて、テレビの音がかき消された。
何が起きたのだろう?
 カーテンをめくってみると、横なぐりの大雨で、ネジ釘のよ
うな雨が地上に打ちこまれているのだった。
 雲間から満月の明りが漏れ、その1本1本がはっきりと見
える。あまりの量にプールの水が溢れ、建物が流されるので
はと思ったほどだ。

 新聞には今年の雨量は127年ぶりとある。橋が流されてし
まった地域もあり、ラジオは道路迂回情報を伝えている。

 くる日もくる日も、この町に真っ黒な雨雲がやってきて空を
覆い、痛いほどの雨を降らせる。草木さえ乾く間がないほどだ。
 
 その雨が、今日は降らなかった。白い雲の合間から青い
空が見え、地上に光りが射しこんだのだ。
 気持ちがはずみ、何度も空を見上げた。
 雨期は終りに近づいているのだろうか。


高橋 朋子